3月例会 「書籍」ソフト&ブースター爆弾

3月例会


日時:2017年3月25日(土)10:00〜12:30
内容:
(1) 自作フリーウェアの活用法(報告:竹下幸一氏) 発表ファイル
   (2) 北朝鮮の核実験の到達点と意図の技術的分析
     ―ブースター弾頭の小型化(報告:岡本良治氏)
発表ファイル(5.12更新)

<報告>
三好が佐賀県知事への要請とその後の記者会見の様子を報告した後,
(1) 竹下幸一氏がみずから開発されたフリーソフト「電子書庫・書籍・ノート」について,その有用性と活用性について報告された.書籍を用いた調査や研究において目的の情報を入手するまでには,書籍の入手,目次や索引の参照,ページ捲り,情報の解読や取得などに,多大な労力と時間が必要となるが,書籍のデジタル化,すなわちパソコンと情報処理技術を利用することにより,それに必要な労力と時間を大幅に短縮を可能にするのがソフト「電子書庫・書籍・ノート」であるという.これにより,労力や時間の短縮のみならず,情報の見落なく迅速で的確な情報取得が可能である点も大きな利点である.本ソフトでは,画像データpdfファイルなどから「電子書籍」用ファイルを準備し,それに対応する文字コードファイル「電子ノート」を作成し,この「電子ノート」を対象にキーワード検索が可能である.さらに,複数の「電子書籍」を対象にしてキーワード検索を行うことも可能である.使用されている言語はVisual Basicで,そのコンパイラーで実行形式にしたもので稼働しているという.使い方次第で大変便利なものであるように思われた.

(2) 次に,岡本良治氏により,「北朝鮮の核実験の到達点と意図の技術的分析」と題した報告していただいた.岡本氏は,1984年に『日本の科学者』誌上に核兵器に関する2つの論文「核分裂兵器と爆縮技術」および「水爆とは何か-ブースター効果とテラー・ウラム配置」を書いている.「実戦における唯一の被爆国としての日本では核兵器への反対の世論は根強いが,必ずしも核兵器の理解を深めること,あるいは科学的,技術的分析や核戦争の想定される被害の具体的検討は,残念ながら,十分には行われていない.核兵器廃絶の運動の発展,特に節目ごとの課題設定を適切に行うためにも」核兵器を正確に理解することが必要と岡本氏はいう.ブースター核弾頭とは,より具体的にはトリチウムが関与するDT核融合反応を媒介として, 核分裂反応を強化する仕組みをもつ弾頭であるという.DT核融合反応により発生する14 MeVの高速中性子がPu239やU238に衝突することで,通常の核分裂で発生する中性子の1.5倍程度発生することで,通常の核分裂爆弾より高効率となる.岡本氏は,すべての核兵器国がすでに獲得し実戦配備している,このブースター核分裂弾頭の生産と配備を開始できるようになった可能性が高いとみている.核兵器が危険で非人道的な兵器であるとすれば,単に北朝鮮指導部に対してだけではなく,米国を初め,核兵器保有国の全てに対して廃棄を要求するべきである.日本国内でも,北朝鮮と米国の双方による軍事活動の停止などを求めるなど,軍事的緊張を高める機運や試みには慎重で抑制するように,時宜を逸せずに運動すべきであろう.
                            (以上,E.M.)

inserted by FC2 system