10月例会 旧統一教会と日韓トンネル問題

10月例会


日 時:2022年10月15日(土)10:00〜12:00
話 題:旧統一教会と日韓トンネル問題
    平田文男氏(分子科学研究所名誉教授)  
発表資料

<報 告>

今回は,いわゆる「核問題」とは大きく異なるが,今は社会問題・政治問題として重大問題となっている「旧統一教会と日韓トンネル問題」について平田文男氏(分子科学研究所名誉教授)から話題提供を受けた.日韓トンネルは,旧統一教会の「国際ハイウェイ財団」が推進しているもので,唐津から壱岐・対馬を経由して釜山あるいは巨済島へ至る総延長200 km余の海底トンネルと陸上部分を合わせたものであり,予定される工事費は10兆円という.統一教会の信者への献金要請のキャッチコピーは「1mmあたり5万円」とされている.

 「国際ハイウェイ財団」は,唐津市,壱岐,対馬にそれぞれ敷地を購入しており,唐津ではトンネル「斜坑」の試掘を行っており,540 mまで掘り進んでいる(壱岐,対馬ではいまだにトンネルの試掘は行われてはいない).
 平田氏は,この日韓トンネル構想の問題点を5点ほど挙げられた.第一に,日韓トンネルの実現にはあまり現実性がなく,「お金集め」の口実に使っているのなら,これは詐欺そのものである.第二に,残土の処理や地下水脈への影響,地盤沈下など,唐津の「斜坑」試掘が国土開発や環境保全に関する法律に違反する可能性がある.第三に,同時にこの地域の歴史遺産の保全に関わる法律に違反することも考えられる.第四に,もしこの構想が日本の国会を通ることになれば,1兆円規模の調査費が認められることになる可能性がある.最後に,もしトンネルの実現を真に目指しているのであれば,日本の国家安全保障に関わる犯罪になるとされた.「日韓トンネル」を最初に提唱したのは,旧統一教会創始者・文鮮明であり,旧統一教会はその文鮮明を絶対君主とする世界統一国家の実現を目指しており,その実現の軍事的・経済的要請として「日韓トンネル」が位置づけられている.
 平田氏は,佐賀県に対して「日韓トンネル」の試掘に関連してこれらの問題点について質問を投げかけているが,佐賀県からの回答は今のところ(すでに3週間ほど経っているが)ないという.
 桜井義秀氏(北海道大学教授)によると,文鮮明の教義の本質は,創世記や堕落論,キリストの誕生・復活などのキリスト教の教義と霊魂の結婚,「先祖解怨」(注1)などの朝鮮の土着信仰であるという.そして教義のポイントは,以下の5点である.①エバがサタンと姦通したことにより人間は原罪を負った.②その原罪をなくすためにはメシアにより血を洗い清める必要がある.③文鮮明こそがそのメシアである.④日本はエバ国家として永遠にアダム国家である韓国に服従しなければならない.⑤文鮮明を「王の王」とする統一国家によってのみ真の世界平和が実現できる.
 テレビ西日本の『闇のトンネル ~「統一教会」と政治~』(9月27日放送)によると,日韓トンネルを推進する団体は急速に創られついに2018年には47都道府県に設立された.九州では各県が共同して日韓トンネル実現九州連絡協議会を立ち上げている.その中には政治家だけでなく,元九州大学総長の梶山千里氏(協議会の会長)などのように多くの大学関係者が参加しており,あまりにも実現性のとぼしい旧統一教会の日韓トンネル構想にお墨付きを与えることになっている.インタビューに答えて「統一教会と日韓トンネルの関係は知っていた.統一教会と日韓トンネルは僕らとしては別.それを統一教会がごちゃまぜに使っているとしても,それは知ったことではない」との梶山氏の発言はあまりにも無責任な発言と言わざるを得ない.
(注1)先祖の呪いを解くことあるいはその儀式.
(注2)https://www.youtube.com/watch?v=aGrX1wzN7p0

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