声明「原発再稼働を許さず脱原発の歩みを強めよう」

4.17声明

原発再稼働を許さず脱原発の歩みを強めよう


2013.4.17


 現在,ここ九州では原発の稼働なしで電力が供給されています.発電の9割程度は,石炭や石油,天然ガス(LNG)を燃料などの化石燃料による火力発電に依存しています.これらの火力発電の最大の問題は,地球温暖化に深い関係がある二酸化炭素(CO2)を多量に排出することです.気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第4次評価報告書(2007)は,地球温暖化の主な要因はCO2などの人為起源の温室効果ガスであるという可能性がきわめて高いと指摘しています.旧式の石炭火力発電では,多量のCO2排出のみならず硫黄酸化物や窒素酸化物,さらにPM 2.5の排出などによる健康被害も心配です.最近話題のPM 2.5は,中国からのみ飛んできているのではありません.

 一方では,CO2を出さず環境負荷のない再生可能エネルギー(水力発電を除く)による発電は2%未満にしかなっていません(平成23年末現在).この再生可能エネルギーによる発電を促進していくことは重要なことです.しかし,この再生可能エネルギーによる発電が急速に進み,化石燃料による発電の代替になる程度に成長することは当面の間は望むべきもありません.

 九州電力の今年5月からの6.23%電気料金値上げの最大の理由は,これら火力発電の燃料費の負担増加でした.九州電力の今回の値上げは,原発の再稼働を前提にして,再稼働できない場合にはさらなる値上げを公言しています.しかし,現在でも16万人が避難生活を余儀なくされている福島第一原発事故による被害の深刻さを思い,この被害がこの程度で済んだのはたまたまの偶然であり,当時の菅首相の口から出たように「東日本がつぶれる」という事態にさえなり得たことを考えれば,この地震国日本において原発を再稼働していく道はあり得ません.現在でも,福島第一原発事故において地震動による被害がどのようなものであったかさえ解明がなされていません.先日の淡路島地震は,発見されていない断層が引き起こしたものとされています.地震国日本においては,原発事故に連動しうる地震はどこでも起きうると考えておくべきです.

 以上の認識から,私たち日本科学者会議福岡 核問題研究委員会は,以下のように原発を再稼働せず,CO2の排出量を抑えていく発電を進めて行くことが重要であると考えます.

(1)玄海および川内の計6基の原発は再稼働を行わないこと.
(2) CO2の排出削減を達成するために,当面の間,熱効率が悪くCO2排出の多い旧式の火力発電を,高い熱効率の最新のガスタービン複合発電(GTCC)に順次代えて行くこと(九電は原発安全対策に2000億円程度を使おうとしていますが,その程度の予算で原発4基分の発電量のGTCCが建設できるという試算もあります).さらにこの際,余熱を利用していくコジェネレーションを同時に行い,エネルギー消費全体の抑制する方法を取ること.
(3)小水力,バイオマス,太陽光,風,地熱などのCO2の排出を伴わない再生可能エネルギーの利用による発電を急速に進めること.

以上


日本科学者会議福岡 核問題研究委員会

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