再稼働に関する九電への公開質問状

再稼働に関する九州電力への公開質問状


 日本科学者会議(JSA)福岡核問題研究会は,1月7日付で九州電力に対して,玄海原発3・4号機の再稼働問題に関しての公開質問状を提出しました.公開質問状の内容は,以下の通りです.なお,pdfファイルを以下からダウンロードできます.
 2月4日までに文書での回答をという要請に対しての九電の対応は,現在,原子力規制委員会で安全対策を議論しているところであり,当日までに文書でまとめて回答することは難しいが,その期日までに回答できる点については,説明する日時・場所を設定したい,ということであった.(2014.1.5/EM)

 本日(2月6日)1/7日に渡した公開質問状に対しての九電からの電話連絡がありました.質問内容が,現在,原子力規制委員会で審議されている事項にかかわっており,検討中のものであり回答できる状況ではないということでした.回答がいつ頃できるかについてもその時期を特定できないとのことでした.これは,しばらく長期戦になるものと気を引き締める必要がありそうです.(2014.2.6/EM)


再稼働に関する九電への公開質問状

 この公開質問書に対する九州電力からの回答は,現在(2014.2.5午後4時)の時点までには届いていません.先日(2014.2.3),「さよなら原発!佐賀連絡会」(代表:豊島耕一佐賀大名誉教授)の質問書に対する九州電力佐賀支部において回答がなされましたが,そこでは,再稼働に関連した過酷事故に対する対策についての質問についてはすべて,原子力規制委員会で審議中なので回答できないということでした.九州電力からの回答は,大幅に遅れるのかも知れません.

 「読売新聞」と「しんぶん赤旗」が,それぞれ,1月8日付の新聞(朝刊)で今回の公開質問状について報道してくれました.それらの報道内容は
ここにあります.

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201417

九州電力株式会社
代表取締役社長
瓜生道明 殿

日本科学者会議 福岡核問題研究会


玄海原発34号機の再稼働に関する公開質問状


炉心溶融などの過酷事故が起きた場合には,広大な領域が放射能汚染され,そこでの住民の生活が不可能になり,多くの人びとが生活基盤を失い避難生活を強いられることになる,ということを福島第一原発の事故は教えてくれました.いまだに福島県だけで15万人におよぶ人々が不自由な避難生活を強いられています.避難指示区域全体の広さは沖縄本島ほどもあり帰宅困難区域の広さは福岡市ほどもあります.
もし,玄海原発でもこのような過酷事故が起きれば,原発の周囲30km範囲だけでなく,九電本社のある福岡市などの住民も避難生活を余儀なくされ,被ばくによる死亡や健康被害,生活破壊など取り返しのつかない惨事となる恐れがあります.放射能汚染は世界中に広がってしまいます.そのようなことが絶対にあってはなりません.
このようなことを勘案すれば,玄海原発は再稼働すべきではないことは明確です.炉心溶融などの過酷事故により原子炉内の放射能が外に放出される危険が無視できるほどに小さいとはいえないからです.
現在,原子力規制委員会で審議されている玄海原発3・4号機の過酷事故対策について,その科学的・技術的な妥当性を吟味するために以下の質問をしますので,24日までに文書でご回答ください.
(1)「全炉心内のジルコニウム量の75%が水と反応するものとする」との審査ガイドに従って,九州電力が計算した発生水素量は407.8キロモルです.その結果,格納容器内のドライ換算水素濃度は12.88%となり,「水素爆轟の目安となる13%に到達することはない」と安心されています.しかし,水素が最も軽い元素であること,ジルコニウム水反応が比較的短時間に起きる反応であることを考えれば,水素濃度の不均一性を考える必要があると思われます.格納容器内における水素濃度の不均一性についての検討はどの程度なされているのでしょうか.もしも,不均一性があるのであれば,水素爆轟の目安となる13%を超える領域もあり得るという考えに立つことが安全確保という観点から大切なのではないでしょうか.また,水素爆轟が起こる水素濃度は,さまざまな条件によって変わることが知られています.政府事故調の最終報告書(pdfp.43)によれば,爆轟の下限は12.5%とも18.3%とも言われているとそれぞれ文献をあげています.このような点についての検討がどのようになされているかをお答えください.
(2)75%のジルコニウムが水と反応すれば,均一濃度で12.88%となるかも知れませんが,76%あるいはそれ以上のジルコニウムが水と反応すれば,確実に均一濃度で13%を超えます.その場合に取るべき対策は考えておられるのでしょうか.
(3)九州電力は,自主的な取り組みで原子炉内の水素濃度低減対策として「事故時の格納容器内の水素濃度を低減する電気式水素燃焼装置を設置」を10月末までに完了したとのことですが,全電源喪失時にこれらのシステムが働かないような事態は考えられるのではないでしょうか.また,水素濃度が不均一な場合に,この装置の作動により格納容器内において燃焼波がつぎつぎに伝播して水素濃度の高いところで水素爆轟が起こる危険はないのでしょうか.
(4)格納容器内を窒素で封入するなどのより安全性の高い対策を取ることは検討しないのでしょうか.水素爆発を防止する対策としては,窒素封入はより安全であると思いますが,九州電力がこの対策を考えない理由はなんでしょうか.
(5)九州電力は,解析コードMAAPを使った数値シミュレーションの結果を基にして格納容器は過酷事故時にも大丈夫であると言っているように思います.しかし,MAAP等の解析コードは,福島事故後の実測プラントデータを再現できない部分があり,国内外のプロジェクトによりコード改良が進められているところです.現状のMAAP等の解析コードの信頼性を,九州電力はどのように評価されているかについてお答えください.数値シミュレーションというのは,一般に,ある限られた要素しか取り込むことが出来ません.この解析コードMAAP以外の数値シミュレーションあるいは何らかの実証実験などを行う予定はないのでしょうか.
(6)炉心溶融が生じたときに,溶融した炉心(コリウム)を格納容器内に水を張って受け止めるという対策が九州電力から提案されていましたが,この対策は原子力規制委員会でも批判されました.この対策はその後どのようになったのでしょうか.もちろん,一度に大量のコリウムが格納容器内に入ってくれば水蒸気爆発の危険さえ考えられます.この水蒸気爆発の危険について,どのようにお考えかお答えください.
(7)格納容器内に水を張ったとしても,大量のコリウムが入り込めば,格納容器の床面においてコリウム・コンクリート反応は避けられないと思われます.このコリウム・コンクリート反応についての対策があれば教えてください.さらに,より安全性の高いコア・キャッチャーの様な過酷事故対策を考えない理由をお答え下さい.
(8)福島原発事故の際には,地震動により受電鉄塔が倒壊し外部電源が失われました.さらには,送電系統の意図的破壊は容易であり,防ぎ難い問題であることが指摘されています.原発に送電する鉄塔・開閉所・変圧器等の系統設備に関しての,地震動等による災害対策およびテロ対策はどうなっているのでしょうか.
(9)1988年,四国電力の伊方原発付近に米軍ヘリが墜落しました.また,最近は,墜落が懸念される米軍のオスプレイが飛行ルート非公開で低空飛行しています.玄海原発34号機の建屋は格納容器と一体的に建設されており,航空機等の衝突により格納容器は一度に破壊される恐れがあります.貴社はこれら原発への航空機等の衝突対策を不要としていますが,その理由と根拠をお答えください.

以上
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