川内原発審査書の過酷事故への対策を問う(2)

―水素爆発対策は可燃性ガスへの引火を契機とする複合爆発の可能性―

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2014年8月7日 福岡核問題研究会

1. なぜ水素爆発対策を問題にするか

 本論考は原子力規制委員会・新規制基準にもとづく川内原発審査書案の過酷事故対策の批判的分析1(水蒸気爆発防止策)[1]に続くものである。
 1979年のスリーマイル島原発事故、1986年のチェルノブイリ原発事故、2011年の福島原発事故で水素爆発は実際に起きた。
 新規制基準において、水素爆発の可能性が払拭できていないことについて、井野・滝谷論文[2] では、次のような問題点が多数指摘されている:
溶融炉心が流れ出てくると、いわゆる水・ジルコニウム反応だけでなく、溶融炉心とコンクリートとの反応(コア・コンクリート反応)によって水素が発生し、より水素爆発の可能性が高まる。加圧水型(PWR)原子炉は格納容器が大きいから水素爆発の心配いらない、というのは非科学的である。1979年のスリーマイル島原発の炉心溶融事故の際には、水素爆発の危険性が最も懸念されていた。モデルによる解析でも、水素爆発発生までの数値に余裕がなく、コア・コンクリート反応や、格納容器内での水素濃度の偏りの可能性を考えた場合、水素爆発はリアリティを持っている。そして、沸騰水型とは違い、加圧水型(PWR)は格納容器が大きいだけに、その爆発の威力も逆に格段に大きいと見ておいた方がいいのではないか。
本年4月中旬、世界の原子力規制の動向に精通した原子力コンサルタントの佐藤暁氏が新規制基準における過酷事故対策が非常に不十分であることを詳しく議論している[3,4]。特に、[3]の21ページにおいて、再臨界、水蒸気爆発、MCCIの評価に対しては慎重さが必要としている。
7月下旬、日本の原子力規制の技術的実務の経験豊富な滝谷氏が注目すべきインタビューを行った[5]。
本論考では、井野・滝谷論文[2,5]や佐藤暁氏の論考[3,4]での論点を踏まえて、関連した補足とこれまでほとんど指摘されていないと思われる論点も提起したい。

2. 原発の過酷事故における水素の発生と燃焼、爆発

2.1 水素の燃焼と爆轟の条件
 水素ガスは最も軽い気体でそのモル質量は2.016g/molである。水素は空気雰囲気中で酸素と反応して熱を出す。これは非常に簡単な反応
 
2H2+O2→2H2O+242 kJ/mol
として表されるが、実際の反応は複雑で、12あるいは16の素反応過程が提案されている[6, 7].
 燃焼の形態としては次の3つがある。
  予混合燃焼:ガソリンエンジンの燃焼。
  拡散燃焼:ガスバーナー、ローソクの燃焼。
  表面燃焼:炭の燃焼。
・予混合火炎の伝搬速度の違い
 この反応形態は反応速度に応じて次のように分類されている。
反応速度が
遅い――燃焼 (静的荷重)
速い――爆発――爆燃 (火炎の伝播速度が亜音速。準静的荷重)
        爆轟 (火炎の伝播速度が超音速。動的荷重(衝撃圧))
 水素-空気-水蒸気の燃焼と爆轟限界について、初期には、ほとんど理論的にのみ研究されてきた。燃焼と爆轟の限界に対する古典的な三角形のダイアグラムがShapiroらにより報告された[8].

Fig3
水素-空気-水蒸気混合の燃焼および爆轟の限界:図の出典[ 9,p.33]


 Shapiroらは爆轟限界を混合率の関数としてのみ調べた。しかし、近年の研究によれば、爆轟限界は幾何学的なスケール、初期の圧力や温度の関数でもあることが明らかになっている[9, p.33]。歴史的には爆轟は水素濃度が18%から59%に対して起こると考えられてきた。
 原子力産業における水素爆発の危険性についてShepherd (米国カリフォルニア工科大学)はPWRまたはBWRの学ぶべき教訓として以下の諸点を列挙している[10]:
1)爆燃はスケールに相対的に独立に発生する:可燃限界(flammability limits)は構成に
  のみ依存する。
2)爆燃から爆轟への移行(DDTと略)はスケールに強く依存すること:爆轟限界
  (detonation limits)は形状、サイズ、発火源に強く依存する。
3)格納容器形状におけるDDTの危険性を定量化するためには大規模実験が必要
  であること。
4)爆轟の開始と伝播は、小規模の場合より大規模の場合には、非常に低い濃度
  で起こりうる。すなわち、水蒸気濃度が10%の場合、水素濃度10.5%で水素
  空気の爆轟、水素濃度11%でDDTが発生する。
 Shepherdの見解、特に4)を裏付けるように、Dorofeevらによる大規模の実験は水素濃度が約10%から77%までの水素-空気混合ガスに対して,爆轟が起こることを示した[9, p.34], [11]。

2.2 過酷事故の間における水素ガスの生成
 過酷事故の際、水素ガスは、ジリコニウム-水蒸気反応(ジルカロイの酸化)、ボロン・カーバイド-蒸気反応、ウラン-水蒸気反応、金属-水蒸気反応、溶融核燃料-コンクリート相互作用(MCCI)、水の放射線分解など種々の過程で生成される[12]。

1)ジリコニウム-水蒸気反応(ジルカロイの酸化)

 これらの過程の中で、最も寄与が大きいにはジリコニウム-水蒸気反応である [12]。その理由は何か。ジルコニウムはイオン化傾向が比較的大きいので、ジコニウム・水反応が高温では激しく起こる。ただ、ジルコニウムはイオン化傾向が大きいのに空気中で1700℃近くになるまで酸化されない。アルミニウムが非常に酸化されやすいのにAl2O3の被膜を作り、酸化されにくいのと同じように、ジルコニウムも空気中ZrO2の被膜を作り酸化されにくいためと思われる。
この化学反応は発熱反応である。
 
Zr+2H2O→ZrO2+2H2+586 kJ/mol
 この化学反応が起こると、発熱するため燃料被覆材の温度がさらに上昇し、反応が進むという悪循環(正のフィードバック)を繰り返す。また、後述のように、この化学反応により生じる水素が酸素と一定の比率で混ざると爆発的に反応する可能性がある。
 典型的なPWR原子炉の場合、事故の最初の2-3時間で150-200キロの水素が生成されるかもしれない。より大きいBWR原子炉の場合、その2-5倍くらいになるかもしれない[12]。
 反応速度の経験則(Baker-Justの式)が単位面積あたりの酸化量の時間、温度依存性という形で得られている。
Baker-Justの式:
 ω^
2 = 33.3×10^6 t exp(-45,500/RT)
 ω:単位面積あたりの酸化量(mg/cm^
2),t:反応時間(s)
 
R:気体定数(cal/mol・K),T:絶対温度(K)

2)鉄―水蒸気反応
 しかし、鉄(Fe)も水素よりイオン傾向が大きく、やはり一定の鉄・水反応で水素が発生する事は間違いない[2]。Feは、冷水や温水とは反応しないが、高温の水蒸気とならば反応する。化学反応式のひとつは
3Fe +4H2O Fe3O4 +4H2 である。Feと高温の水蒸気の場合は可逆反応であることがZr-水蒸気反応とは基本的に異なるが,溶融した炉心が圧力容器の底に溜まり,鉄を主成分とする圧力容器を溶かす場合には,Feと高温の水蒸気によって発生する水素についても考慮しなければならない。

3)水の放射線分解
 放射線によって水が分解されると、水素だけではなく、酸素も発生する。商業用原子炉では、この酸素と水素を、触媒を使って化学反応させて水に戻す、排ガス再結合器が組み込まれている[13]。放射線によって発生する水素は量もそれほど多くなく、速やかに水に戻るため、水素爆発の原因になる可能性は低い。福島原発事故では、水蒸気がジルコニウム合金との化学反応により酸素を奪われた事によって水素が発生したため、原子炉内部には、水素と再結合させるための酸素が存在しなかったため、排ガス再結合器も役には立たなかったと考えられる。

4)溶融燃料とコンクリート相互作用(molten corium-concrete interaction, MCCI)[12], [14]
 国際的な原子力研究者の間でも、過酷事故の際、溶融核燃料等の冷却を促進する格納容器の窪み部分を予め水で満たすことは、水蒸気爆発の引き金というリスクもあり、依然として見解が分かれている[12]。しかし、水で冷却できなければ、溶融核燃料等は窪み部のコンクリートと接触し、コンクリートの破損が進む。これが溶融燃料とコンクリート相互作用である[14]。文献[14]とその中の引用文献によれば、コンクリートの骨材が石灰岩系であれば、大量の水素とともに、大量の
COCO2が発生する。

2.3 格納容器内における水素ガスの分布
 スリーマイル島原発事故、チェルノブイリ原発事故, 福島原発事故は,原発の過酷事故において水素燃焼が起こることを実証した[12]。スリーマイル島原発事故では、水素燃焼は約12秒間燃焼したが、爆轟は起きなかった。格納容器雰囲気における物理的な仕組みにより、水素は通常不均一に分布する。その結果、燃焼が起こりやすい条件をつくるように、局所的に高い水素濃度が起こるかもしれない。
 水素ガスの分布を決める仕組みとしては、ガスの流れ、分子拡散、格納容器内の種々の構造物と格納容器雰囲気の間の熱伝達、水蒸気凝縮のような質量輸送が考えられる[12]。

2.4 格納容器における水素ガス燃焼
 水素の持続的な燃焼が起こる条件[12]は次のように表される。
1) 水素を含むガス混合物が,混合物の中での水素の濃度、圧力、温度など十分な物理的条件が満たされること
2) 水素を含むガス混合が発火すること
 重要なことは、いったん点火されると、水素の燃焼はすべての可燃性の水素混合物がつきるまで制御不可能である[12]。偶然の発火はランダムな事象であるが、産業事故における過去の経験は、リスク分析や安全性評価を行う場合、発火源の存在を保守的に想定するべきことを示してきた[12, pp.212-213]。原発の過酷事故において、例えば、電気系統、爆発する配管、あるいは高温の溶融燃料の粒子など、多数の潜在的な発火源が考えられる[12, p.213]。

2.5水素ガス燃焼の危険性の緩和方策
 [12]のpp.224-227

  • 格納容器雰囲気の不活性化
  • 格納容器雰囲気の混合
  • (人為的)水素燃焼による局所的高濃度の発生防止
  • 静的触媒式水素再結合装置(Passive Autocatalytic Recombiner, 略称PAR)は、外的エネルギー不要ではあるが、自然循環の速度に依存するので、大量の水素発生に対してはおそらく不十分である[12, p.227]。
  • 水素イグナイタ(Hydrogen igniter)の仕組み

3. 水素爆発とその防止法についての適合性審査の経過と審査書案の内容

3.1 適合性審査の経過について
 滝谷氏はごく最近のインタビュー[5]において以下引用のような注目すべきことを指摘した:
 「旧原子力安全・保安院が、福島事故後の2011年6月に、『東京電力福島第1原発事故に係る1号機、2号機、3号機の炉心の状態に関する評価のクロスチェック解析』という資料を公表している。東電はMAAPで解析して、それを保安院がJNESの支援を受けてMELCORによるクロスチェックを行った結果、地震発生後の1号機原子炉圧力容器の破損時間はMAAPでは約15時間、MELCORでは約5時間と、3倍の差異が生じた」[16]
 「川内原発での事故シーケンス(進展)におけるMAAP解析では原子炉圧力容器の破損時間は、事故発生から約1.5時間。問題となるのが、『溶融炉心・コンクリート相互作用』という、(超高温の)溶融炉心が格納容器下部に落下し、コンクリートを溶かして破損させる現象だが、九州電力の対策では(原子炉格納容器上部の)格納容器スプレーで注水して、溶融燃料が落ちてきた時点で、格納容器下部に水を張るから、溶融燃料は水の中に沈積されて、コンクリートと燃料の反応は軽微に止まるとしている」[5]
 「しかし、MELCORで解析すれば、原子炉圧力容器破損に至る時間がもっと短い可能性がある。仮に(福島事故でみられた両コードの解析の差異と)同じような特性があるとすれば、川内原発におけるMAAP値での圧力容器破損が1.5時間ならば、MELCORでは30分。川内原発の場合、(事故発生から)格納容器スプレー開始まで49分で、30分で原子炉容器破損が起きたら、(格納容器下部に)水が溜まっていない」[5]
滝谷氏が指摘するこのようなことが、実際の過酷事故時に起きないという保証はどこにもない.

3.2 審査書案の内容について
 格納容器の健全性を脅かす上で特に注目されるのは,爆燃から爆轟への遷移,および爆轟である。規制基準では「格納容器が破損する可能性のある水素の爆轟を防止すること」を求め,その判断基準値は,「水素濃度がドライ条件に換算して13%以下又は酸素濃度が5%以下であること」としている(ドライ条件とは,水蒸気の存在は除外することを指す)。
 川内原発の審査書案に於ける川内原発1・2号炉の水素爆発の検討書は195ページから201ページまでに記載されている。審査書案では以下のように扱われている。
川内原発はフィルター付きベントの設備を持っていなくて、格納容器内の窒素封入もないので、過酷事故が起きると、新規制基準の水素濃度発生量は、水・ジルコニウム反応が75%起きたとした時、9.7%の水素濃度に成ると記されている。
 また、MCCI(コリウム・コンクリート反応)からも全炉心ジルコニウムの6%の反応の水素が出るので、水・ジルコニウム反応が100%起きたとした時、12.6%の水素濃度に成ると記されている。しかし、12.6%の水素濃度には,2.2節で述べた鉄-水蒸気反応からの水素は考慮されていない。
 新規制基準の適合性審査で水素濃度が13%だから、まだ0.4%の余裕が有るとすることが問題と指摘されたので、念のためにイグナイタ(電気式点火装置)の追加取り付けを行うことにしたと記されている[17, 18]。
 九州電力はあくまで、イグナイタで水素を燃焼させると主張している。しかし、水素の爆発限界は4%から75%であるから、イグナイタで点火すると、格納容器内にガス爆発が起こる。また、このガス爆発は水蒸気爆発のトリガリングになる可能性が高く、水蒸気爆発との複合爆発の可能性が大きくなる。さらに、MCCIの進行度合いによっては、CO爆発の可能性もある。
 九州電力は、高熱溶融炉設計者や操業者が絶対に行わない、あるいは一般の産業技術の現場でも回避されるべき、爆発限界内のガスに平気で点火と爆発を行うとしている。

3.3 原子力規制委員会の専門性、独立性は十分か、重視されているか
 国会における水素爆轟関係に関連した審議について[19]:
 去る4月15日、関西経済連合会と九州経済連合会は連名で、「原子力発電所の一刻も早い再稼働を求める」という意見書を、政府、そして原子力規制委員会、さらには国会、原子力規制委委員会に対しても宛てて出した。このことについての笠井亮衆議院議員(日本共産党)の質問に対する田中政府特別補佐人(原子力規制委員会委員長)は、「事務的には受け取っておりますけれども、原子力発電所の再稼働は原子力規制委員会の所掌ではなくて、原子力発電所の再稼働に関する要望書については、受け取ってはおりますけれども、コメントは差し控えたいと思います」と一見、独立性を保持するかのような答弁した。上述の意見書は「産業界からみると、独立性と専門性を重視しすぎるあまり、限定された専門家に負荷が集中し、効率的で責任のある意思決定が迅速に行われているとは言い難い」とも非難している。
 しかし、旧原子力安全・保安院などさえ行ってきたクロスチェック解析について、田中委員長は、「別途の解析をしていると言われながら、クロスチェックとは最後まで明言せずに、個別については答弁を差し控えたいとか、解析も含めた有効性の評価を行っている、こういうふうに言われて、やっているのかやっていないのかというと、言を左右にされるということがあったんです。」と答弁している。すなわち、独立性を保持すると言明しても、クロスチェック解析なしでは専門性も独立性も保証されるとは言えないことは明白である。さらに、ジルコニウムと水の化学反応によって発生する水素発生量の田中規制委員長による推定の桁数が違っていたこと、それにより静的触媒式水素再結合装置の性能が桁違いに低いことが明らかになった。

4.シビアアクシデントの解析コードの不確かさとその背景

 Segalによれば「(最も初歩的事実は別として)原発における水素ガスの振る舞いのほとんどの物理的側面は依然として、特に実験的には、研究途上である。これは水素ガスの振る舞いについての知識が完全からはほど遠いことを示している」[12, p.188]。
また,片岡氏は「これまでの研究、コード開発において多くの現象についての基本的な物理メカニズムの理解とモデル化は行われてきた。(中略)しかしながら、個別の炉においてシビアアクシデントがどのように進むのか、またどの現象が起きないのかを評価することは十分ではない」[7]と指摘する。片岡氏のこの現状認識は次の岩田氏の認識と整合的である。
水素ガスの燃焼・爆発は、「非平衡の複雑な系のふるまいであり、それぞれの場所、時間、化学、経路、形状、履歴によって大きく様相は異なる」[20], [21]
 失敗学流の考察[15]からも(批判派を含む)原発のリスク分析と安全対策が持つ限界(想定範囲)の狭さが示唆されている。すなわち、原発の過酷事故で起きる事象の複雑性を理解し網羅することは極めて困難で、隣接原発への波及や原発内の臨時作業なども重大な影響を及ぼすだろう。
3.11福島事故に関する錯綜する多くの事故分析や想定外の幸運と不運の事故への影響など、原発のリスク分析と対策がいかに困難かつ想定困難な要因に満ちていることか。

5.まとめ

1) 審査書案では、水素爆轟濃度の下限を13%と設定し、九電の対応では12.6%以下になるとして、認可されている。たとえ、水素爆轟濃度の下限を13%が正しいとしても、危険と紙一重のきわどい自動車の運転を許可するようなもので、極めて危険な評価と言わざるえない。
2) 水素燃焼における爆轟と爆燃爆轟遷移の条件は、大きいサイズの装置の場合、小さいサイズの装置より低い濃度で起こる可能性が2010年に米国カリフォルニア工科大学の研究者により指摘されている。この推定を裏付けるように、大きな規模の実験において、水素爆轟は水素濃度10%~77%で可能であることが1994年に報告されている。したがって、規制基準における「水素爆轟濃度の下限13%」自体が根拠薄弱で過度に楽観的な基準と言わざるを得ない
3) 一般に、水素が局所的に高濃度になる可能性は否定できない。
4) 水素イグナイタの使用自体が水素爆発の引き金になる可能性があるだけではなく、水蒸気爆発などとの複合爆発になる可能性も否定できない。
5) シビアアクシデントの解析コードには一般に不確かさがあり、複数の独立の物理モデルにもとづく解析コードによるクロスチェックを行うことが必要不可欠である。
6) 複数の解析コードで有意に異なる結果が出る場合、保守的な態度、すなわち、より厳しい方針で望むべきである。
7) 安全性を確かめ、複数の解析コードの異なる結果を評価する意味でも、数分の1モデルあるいは1/4モデルなどにより実証実験を行うべきである。

参考文献および注

[1] 福岡核問題研究会2014年7月26日
川内原発審査書の過酷事故への対策を問う(1)ー格納容器と原子炉建屋が水蒸気爆発で破壊されないことは実機規模で実証されているかー
[2] 井野博満・滝谷絋一「不確実さに満ちた過酷事故対策」『科学』84巻3号, 333 (2014).
http://www.ccnejapan.com/archive/2014/201403_CCNE_kagaku201403_ino_takitani.pdf
[3] 院内学習会:原子力規制のグローバルな状況と日本。
2014年4月18日 
http://www.cnic.jp/movies/5817
佐藤暁氏の講演資料 
http://www.cnic.jp/files/20140418mokkai_sato.pdf
[4] 佐藤暁、「不吉な安全神話の再稼働」,科学84巻8号, p.833 (2014).
[5] 滝谷紘一氏(元原子力安全委技術参与)インタビュー:原子力規制委の審査「厳正でない」2014年 07月 28日
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0FX0HJ20140728
[6] N. Cohen, Flammability and Explosion Limits of H2 and H2/Co: A Literature Review, Aerospace Report No. TR-92(2534)-1, 1992.
http://dtic.mil/dtic/tr/fulltext/u2/a264896.pdf
[7] 片岡 勲、軽水炉シビアアクシデント評価技術の課題、2012年日本原子力学会春の年会(福井大学)。
http://csed.sakura.ne.jp/wp-content/uploads/2012/04/b2e976417f2f39877bc74a84eb8dd9ce.pdf
[8] Z. M. Shapiro and T. R. Moffette, 1957. Hydrogen Flammability Data and Application to PWR Loss-of-Coolant Accident, WAPD-SC-545, Bettis Plant, September.
[ 9] A. Silde, I. Lindholm, On Detonation Dynamics in Hydrogen-Air-Steam Mixtures, NKS-9, VTT- Energy, Finland
抄録は
http://www.iaea.org/inis/collection/NCLCollectionStore/_Public/31/031/31031776.pdf
論文名で検索すると論文をダウンロード可能。
[10] J. E. Shepherd ( California Institute of Technology), Thirty years of Research on Hydrogen Explosion Hazards in the Nuclear Industry,
http://nisd.ans.org/wp-content/uploads/2013/08/Panel-Overheads-Shepard-Hydrogen-ANS-2010.pdf
[11] S. Dorofeev, V. Sidorov, W. Breitung, J. Vendel, and A. Malliakos,
Recent Results of Joint FZK-IPSN-NRC-RRCKI Research Program on Large Scale H2 DDT Experiments in the RUT Facility, Presented at CSARP Meeting, Bethesda, MD, USA, May 5-8, 1997.
[12] B. R. Sehgal, Nuclear Safety in Light Water Reactors: Severe Accident Phenomenology, Academic Press, (2012).特に,pp.255-282.
http://store.elsevier.com/Nuclear-Safety-in-Light-Water-Reactors/isbn-9780123884466/
特に、 3.1. Hydrogen-behavior-and-control
[13] 原子力排ガス再結合触媒及び再結合器
http://www.google.com/patents/WO2012029090A1?cl=ja
[14] 岡本良治・中西正之・三好永作「炉心溶融物とコンクリートとの相互作用による水素爆発,CO爆発の可能性」、『科学』2014年3月号。
https://dl.dropboxusercontent.com/u/86331141/Shiryo/Kagaku_201403_Okamoto_etal.pdf
[15] 失敗学会の発行物(No.59、2011-8-9 発行)
「原子炉建屋の水素爆発が想定外だったのは何故?」
http://www.shippai.org/images/html/news559/YoshiokaMemo59.pdf
[16] 旧原子力安全・保安院「福島事故後の2011年6月東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故に係る1号機、2号機及び3号機の炉心の状態に関する評価のクロスチェック解析、2011年6月。特にp.4。
http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/backdrop/pdf/app-chap04-2.pdf
[17] 原子力規制委員会 第58回原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会合、平成25年(2013年)12月17日(火)
https://www.nsr.go.jp/activity/regulation/tekigousei/20131217.html
[18] 検討会58コメント回答。
平成26年4月3日 北電、関電、四電、九電。特に、p.40, 48, 49, 51, 55, 63, 64, 68-69, 4-70, 4-71, 4-72, 4-76, 4-77, 4-78。
[19] 第186回国会 原子力問題調査特別委員会 第4号(平成26年4月24日(木曜日))
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/026518620140424004.htm
[20] 岩田修一、原子炉内で起こる化学反応、「化学」Vol.66, No.6 (2011).
特集「福島第一原発事故」,i-iii.
http://www.kagakudojin.co.jp/files/c6606_iwata_tsuika.pdf
[21] 理論的には、複雑な多体系の動的変化を規定する、抽象的な多次元エネルギー空間において、高温領域では比較的狭いエネルギー交換幅内に多数の局所的最小値と鞍部点(saddle points)が併存し、その記述や理解が極めて困難という従来からの難問と類似した事情であろう。

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