9月例会 琉球大学平和教育&非化石価値取引市場

9月例会


日時:2018年9月22日(土)15:00〜17:30
話題:(1)「琉球大学おける平和教育『核の科学』の実践報告」
     (話題提供:堺英二郎氏) 
報告資料
   (2)「非化石価値取引市場についての問題」
     (話題提供:中西正之氏) 
報告資料

<報告>

 はじめに堺氏が琉球大学において実践された平和教育『核の科学』についての報告をなされた.琉球大学における,この平和教育はJSA 沖縄支部の琉球大学理学部班の核問題に関する勉強会が出発点であった.その背景には,1972 年に沖縄は日本に復帰し,復帰前の米軍の核兵器は復帰前に撤去されたとされていたが,大半の沖縄県民は「核兵器は復帰後もそのまま残されている」,「非核三原則は守られていない」との強い疑念と不安があった状況でも,琉球大学に核問題の専門家がいない中で自分たちがその専門家になる必要があるとの認識があったという.その勉強会の仕上げとして1984 年2 月に「核と沖縄」と題するシンポジウムが開催され,成功裏に終わるとともにその4 月から「核の科学」が核問題に関連した理学,社会科学,教育学,医学を含む総合的な平和教育科目として開講された.①「核」についての基礎知識の修得,②人類の平和と安全は核軍縮による相互の信頼と友好関係により樹立されること,③人権・開発・南北問題など構造的暴力や地球環境問題も広義の「平和」の問題であること,④21世紀の平和をどう築くかを考えることを授業の目標として設定して,「核の科学」がはじまった.担当の教員は,学内のほとんどの学部から集められた.初年度には,戦跡や基地の見学,原爆被爆地の見学も実施された.毎年,100 名程度の学生が受講し,開講当初は受講希望者が殺到し一部受講を断ったこともあったという.「核の科学」の受講者の累計は3000 名に達する.同氏が退職された後この講義を責任を持って担当していく後継者の養成も課題のひとつであるという.

 次に,中西氏から「非化石価値取引市場についての問題」と題した話題を提供して頂いた.この「非化石価値取引市場」とは,現在のFIT 制度の買取が終了した後の再生エネルギーへの奨励金を維持するための新しい制度のようであるが,ここに大きな誤魔化しがあるという.いま進められている「エネルギー供給構造高度化法」は非化石エネルギー源を拡大し,化石エネルギー原料の有効利用促進を目的としているが,その「非化石」エネルギー源とは再生可能エネルギーと原発をいうようである.非化石エネルギー源の比率は2030 年で44%と設定されており,そこではFIT 制度と同様に莫大な金額が動くような状況ができるという.CO2 排出には,大きな差のある石炭発電と高効率のコンバインドサイクル発電を化石エネルギー源使用ということで一律に罰金の対象とする一方で,原発を非化石エネルギー源使用ということで優遇するような計画が進められ
ているという.

 9 月例会終了後,西鉄白木原駅近くの居酒屋で暑気払いをかねた飲み会で大いに盛り上がった.

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