6月例会b 米軍基地から流出した有機フッ素化合物

6月例会b


日時:2020年6月20日(土)18:00〜20:00
話題:米軍基地から流失したと思われる有機フッ素化合物
   (話題提供:森永徹氏)  
発表資料

3月に予定していた例会をコロナ禍の中で中止・延期していたが,オンラインで研究会を開催した.

<報告>

今年の1月,米軍の横田基地周辺の井戸から高濃度の有機フッ素化合物(PFOS, PFOA)が検出された.横田基地は立川市や武蔵村山市などに隣接する.PFOSと PFOAは,人の健康や環境への悪影響を及ぼす残留性有機汚染物質として国際的に認知されている.横田基地では長年にわたり泡消火剤が消火訓練に使われてきており,これらの有機フッ素化合物は泡消火剤に含まれた基地由来のものではないかと疑われている.一方,「琉球新報」によれば沖縄の米軍嘉手納基地周辺での水質調査でも高濃度の有機フッ素化合物が検出されている(2019年4月).これについても基地由来のものとの考えられている.PFOSと PFOAは,それぞれ,2009年,2019年に製造および使用の禁止が決議されている.これらの有機フッ素化合物に高濃度に暴露されることにより,発がんの増加傾向があり,小児の健康にも悪影響があることがさまざまに報告されている.「米軍基地内も日本側が調査できるような体制を取り,国民の健康を守ることが必要」とまとめられた.

なお,話題終了後,「オンライン飲み会」を行った.各自,飲み物と好みのつまみをパソコンの前に置いて,近況を語り合った.費用的には極めて安い「飲み会」であったが,議論はそれなりに盛り上がった.

6月例会a 原子炉級プルトニウムと核兵器

6月例会a


日時:2020年6月6日(土)10:00〜12:30
話題:原子炉級プルトニウムと核兵器
   (話題提供:岡本良治氏)  
発表資料

3月に予定していた例会をコロナ禍の中で中止・延期していたが,6月6日(土)にオンラインでZoomを使って福岡核問題研究会を開いた.

<報告>

岡本氏はA4版44ページにわたるノート「原子炉級プルトニウムと核兵器」を書き上げておられる.そのノートに基づいたお話をなされた.2019年現在,原子炉の使用済み核燃料から抽出されたプルトニウム(原子炉級プルトニウム)で日本が保有する量は45.7トンであり,長崎原爆で使用された量8 kgでわると,約6000発相当になるという.「原子炉級プルトニウムで核兵器ができるかどうか」という問題に関して科学的・技術的に詳細に報告された.日本原子力研究開発機構が運営する原子力百科事典では「原子炉級プルトニウムは原子炉の燃料としては使用できるが,原子爆弾の原料には適していない」とある.原子炉級プルトニウムで核兵器を作る上での問題点は,自発核分裂が起こり易いプルトニウム240が多く含まれるため,意図しない核分裂連鎖反応による事前爆発(過早爆発)が起こることである.これを避けるため,マンハッタン計画では爆縮型の原爆(長崎原爆)を作った.岡本氏によれば,長崎原爆は旧式のものであり,長崎原爆の爆縮型の構造をそのまま踏襲した核兵器は現在の核兵器国ではないという.①爆縮時間の短縮や②ブースター効果(重水素と三重水素の核融合を利用することで核分裂の高速化・高効率化を図る仕組み)を使うことで,原子炉級プルトニウムでも兵器級プルトニウムと変わらない程度に過早爆発の確率を低く抑えることが可能であるとのことであった.

なお,岡本氏はA4版44ページにわたるノート「原子炉級プルトニウムと核兵器(加筆修正版)」を以下のサイトに公開されている.
http://rokamoto.sakura.ne.jp/fukushima/reactor-grade-Pu-and-nuclear-weapon-note.pdf

inserted by FC2 system