5月例会 GX脱炭素電源法案について

5月例会


日 時:2023年5月27日(土)10:00〜12:00
話 題:「電気事業法等の一部を改正する束ね法案」について
報告者: 中西正之氏  
発表資料

<報告>

 5月例会では,参議院で審議中の「電気事業法等の一部を改正する束ね法案」(以下,「束ね法案」と略)について中西正之氏に詳細な報告をしていただいた.岸田政権は,2023年2月に日にこの束ね法案を閣議決定した.この束ね法案は,「原発を最大限活用する」ために電気事業法や原子炉等規制法,原子力基本法など5つの法律の改正案を束ねたものであるが,一般国民にはその内容が分かりにくいように作成されているという.

 まず原子炉等規制法から現行の「運転の期間」の項目が削除されており,その代わりに電気事業法に「発電用原子炉の運転期間」の項目が入ってきている.これは,原発の運転期間を原子力規制庁や原子力規制委員会による規制の対象から,原発推進側の経済産業省の管轄に移すということである.40年を超えての運転については,規制委員会の安全審査はないと言うことになり,電力安定供給等の観点から経済産業相が認可することになる.また現在,沸騰水型は福島原発事故以来,運転停止中であるが,この運転停止期間は40年を超えての延長には含まれないという.

 再処理法の改定では,「使用済燃料再処理機構」が今後は「使用済燃料再処理・廃炉推進機構」と機能拡張され,機能強化されることが規定されている.これから原発の大量廃炉時代に入り,原発の廃炉も単独の電気会社には大きな荷重になり,国の機構が援助することで原発推進を容易にすることがもくていであるという.

 原子力基本法では,福島原発事故の反省から原発依存度を可能な限り低減するという方針を180度転換して原発の利用を拡大していくことを明記している.「国の責務」が「原子力発電を電源の選択肢の一つとして活用すること」と明記しているのである.そして,原発関連の人材の育成や原発に関する研究・開発に取り組む事業者などへの援助など5件の施策が新設されている.

 この束ね法案に対する研究会としての態度表明を,意見の一致する範囲で出したほうが良いのではということで,メールを通して意見をまとめ,
声明「『束ね法案』は廃案にせよ〜原発復権は日本衰退の道〜」を5月30日の日付で発出した.

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