6月例会 自民党政府のCOVID-19対策の問題点

6月例会


日 時:2021年7月3日(土)10:00〜12:00
報 告:「自民党政府のCOVID-19(新型コロナ感染症)対策の問題点」
    報告者:森永 徹 氏   
発表資料

<報告>

 森永氏は本題に入る前に,ワクチン摂取後の副反応などのデータの詳細を述べた上で,ワクチン摂取により様々な副反応はあるが,「高齢者や基礎疾患のある人はワクチン接種を受けるべきであろう」と述べられた.その上で,自民党政府のCOVID-19対策の問題点として,①PCR検査の不拡充,②ワクチン調達の遅れ,③水際対策の不備,④危機管理能力の欠如,の4点をあげそれらについて説明された.

 ①については,検査体制の拡充で感染者を早期発見し感染を防ぐことが大切であるが,「PCR検査が受けられない」との訴えがマスコミで報道され感染が拡大していた5月に,厚生労働省はPCR検査拡大に否定的な内部資料を作成し政府中枢に説明していたという(毎日新聞2020.10.11).その背景には,歴代政権下で国立感染症研究所の人員や研究費の減少傾向が,外部有識者が10年前から今回のような感染症流行時に支障を来すとして増員・増額を要望していたにも関わらず,続いていたことと,全国の保健所が半減されたことがあるという.1992年に852カ所あった保健所は2020年4月には469カ所まで減らされた.

 ②については,2020年12月8日に世界で初めてイギリスでファイザーのワクチン摂取が始まり,米国でも同14日に摂取が始まった.日本では欧米に比べて2カ月遅れのスタートとなった.2021年6月29現在で,ワクチン摂取完了状況はイギリス48%,米国46%に比べて日本は10%となっている.③については,現在,成田羽田関西などの国際空港で行われているのは短時間で結果が出る抗原検査だけである.この検査には偽陰性の問題があり,イギリスから帰国した50代の女性が検疫をすり抜けた後に陽性が判明した.日本の「水際対策」の限界が明らかになっている(時事通信2020.12.28).

 ④の危機管理の基本は,起こりうる可能性のあるあらゆる危機に対し,最悪の事態を想定してその対策を構築していくことである.しかし残念ながら,日本では楽観論が支配的であり,この基本が守られていない.いま,日本では感染者数,重傷者数,死亡者数ともにかつてない領域に達しようとしている.政府には,最悪の事態を想定した対応が求められる.


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