3月例会 脱原発,気候変動対策とライフスタイル革命

3月例会


日時:2018年3月24日(土)10:00〜12:30
話題:脱原発,気候変動対策とライフスタイル革命
   (話題提供:岡本良治氏) 
発表資料

<報告>

 本年の1月例会において中西氏が「日本のエネルギー基本計画の検討」を報告され,いわゆる「エネルギー問題」が取り上げられたが,今回はそれに続いて,岡本氏によって「脱原発,気候変動対策とライフスタイル革命」と題した「エネルギー問題」が再び取り上げられた.
 まず,岡本氏は,気候変動対策に対して,①消費エネルギー削減,②エネルギー高効率化,③再生可能エネルギー普及,④原発廃止の4本柱で対処するという基本方針が高い説得力をもつと強調された.省エネルギーやエネルギー高効率化はエネルギー問題の中心的な課題であり,原発は決して温暖化対策の切り札ではない(吉岡斉,岩波ブックレットNo.802).
 ジャレッド・ダイアモンドによれば,持続不能に至る道を進んでいる現代社会は「50年以下の導火線をつけた時限爆弾のようなもの」という(「文明崩壊」第16章).
 スイスなどで先進的に進められている,快適な生活を維持しながら,一次エネルギー消費量を1人当たり2000ワットに抑えるプロジェクトなども大いに参考にすべきであろう.2014年度における日本の1人当たりの一次エネルギー消費量は4,660ワットであり,カナダや米国では,それぞれ,10,500ワット,9,200ワットである.日本で「2000ワット社会」を実現するには,エネルギー効率の悪い原発の廃止はもちろんのこと,大いなる省エネとエネルギー高効率化の推進が必要であろう.これらのエネルギーには,社会活動全般,生産や輸送に必要なエネルギーも含まれており,また,体内に取り込む食物のエネルギーも含まれている.一日2500 kcalを食物として取り入れていれば,2500x1000x4.19 J/(24x3600 sec) = 121 (J/sec) = 121ワットとなる.
 最後に水素エネルギーに関わる技術や「水素戦略」をどのように評価するのか,また,CO2分離貯蔵(CSS)技術の現状と近未来をどのように評価するか,などについて議論が必要であるとの発言があった.

inserted by FC2 system