2月例会 米国の核態勢見直し&ネバダ核実験の深刻な影響

2月例会


日時:2018年2月17日(土)10:00〜12:30
話題:
(1)米国の「核態勢見直し(NPR2018)」と「国防戦略2018」を読む
   (話題提供:岡本良治氏) 
発表資料
(2)ネバダ核実験場の地上核実験による死者数について
   (話題提供:菊川 清氏) 
発表関連論文

<報告>

はじめに岡本氏が,今年1月19日に米国防省が発表した「国家防衛戦略」と2月2日に発表した「核態勢見直し」(NPR: Nuclear Posture Review)を批判的に紹介された.「国家防衛戦略」では対テロよりも中ロを長期的な競合相手と位置付け,抑止力拡大のため,米軍を強化する必要性を強調している.同時に,集団防衛に公平な負担を期待するとして同盟国に防衛強化を求めている.河野外務大臣が高く評価するというNPRは「国家防衛戦略」の中核である.しかし,これは非核攻撃への報復にも核使用を明言したり,新型の小型核弾頭の開発など核兵器の役割を拡大させ,核兵器のない世界を願う国際世論に冷水を浴びせるものとなっている.

次に,菊川氏により,ネバダ核実験場の地上核実験によって深刻な影響を受けた人数を実証的アプローチで推定したK. Meyersの論文 ”Some unintended fallout from defense policy: measuring the effect of atmospheric-nuclear testing on American mortality patterns” の紹介がなされた.これまでの累積死亡者数の推定値(甲状腺がんによる)は4.9万人であったが,本論文では34〜46万人と推定している.これまでの研究ではネバダ核実験場の周辺(数カウンティーの)住民のみを対象としていたが,この論文では米国全土のカウンティーを対象として調査している.ネバダ核実験場での1951〜1963年の実験で放出された放射能は,チェルノブイリ事故で放出された量の150倍程度であるという.

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