8月例会 エネルギー基本計画(素案)について

8月例会


日 時:2021年8月28日(土)10:00〜12:00
報 告:「エネルギー基本計画(素案)について」
    報告者:中西正之氏   
発表資料

<報告>

 8月例会では中西氏が日本のエネルギー基本計画(素案)について紹介された.
 日本政府は,遅ればせながら2020年10月26日に「2050年カーボン・ニュートラル」を宣言した.2020年10月13日に開催された第32回総合資源エネルギー調査会基本政策分科会から第6次エネルギー基本計画の検討が始まり,次の第33回の基本政策分科会(11月17日)で「2050年カーボン・ニュートラルの実現に向けた検討」がなされている.第34回の基本政策分科会(12月18日)では,国立環境研究所,自然エネルギー財団,日本エネルギー経済研究所などの日本のエネルギー問題を研究している団体からのヒアリングが行われた.

 第37回の基本政策分科会(2021年2月24日)では,2030年に向けたエネルギー政策目標について産業界(経団連),中小企業(日商会),労働団体(連合),消費者団体からのヒアリングが行われ,次の第38回の基本政策分科会(2021年3月11日)からは当面の2030年に向けたエネルギー政策のあり方の検討が始まった.第39回の基本政策分科会(3月24日)には,エネルギー供給事業者の電気事業連合会,日本ガス協会,石油連盟や太陽光発電協会,日本風力発電協会などからのヒアリングが行われた.

 第40回と第41回の基本政策分科会では引き続き「2030年に向けたエネルギー政策の在り方」が議論されたが,2030年CO2削減数値は2013年比で26%減とまだ低いものであった.しかし,バイデン米大統領の主催の「気候変動サミット」が4月22, 23日に開催されることになり,その直前に菅首相による地球温暖化対策推進本部の会議が短時間開かれ,環境省のこれまでの調査・検討をベースに,2030年度のCO2削減目標を2013年比で46%減を決めて,4月22日に発表したが,その6日後の4月28日の第42回の基本政策分科会の資料には,このCO2削減目標に整合するデータはないという.そのことは,事務局から説明が行われ,各委員からもCO2削減目標46%はあまりにも大きく,これまでの延長では困難な目標と思われるが,世界に約束した以上,整合性のあるエネルギーミックス数値にする改定が必要ありとの意見が出たという.

 第46回〜第48回の基本政策分科会で「エネルギー基本計画(素案)」が議論され,採択されたが,委員から今回の2030年エネルギーミックス案は2030年温室効果ガス46%減の方針に合わせるための帳尻合わせではないかとの意見も出ているという.実質的な炭素税の採用も見送られている.電源構成で再エネが36〜38%と引き上げられているものの,原子力は20〜22%と変化なく,そして,石炭火力も19%としている.また,石油・天然ガス等の自主開発のさらなる推進が述べられている.

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