9月例会 川内原子力発電所の運転期間延長の検証について

9月例会


日 時:2022年9月3日(土)10:00〜12:00
話 題:川内原子力発電所の運転期間延長の検証について
      報告:中西正之氏  
発表資料

<報 告>

 中西正之氏から「川内原子力発電所の運転期間延長の検証について」の話題提供をいただいた.川内原発の1号機,2号機は間もなく40年の運転期限を迎えることになる.現在の原子炉等規制法では,運転開始から40年を経た原発は1回に限り最長20年の運転延長が可能となっている.鹿児島県は「川内原子力発電所の運転期間延長の検証に関する分科会」を設置し,これまで4回にわたって分科会が開かれた.その内容を説明していただいた.
 第一回分科会は,2022年1月20日に一部リモートで開催された.分科会の委員は,大畑 充(阪大教授),釜江克宏(京大特任教授),橘高義典(都立大教授),後藤政志(星槎大非常勤講師),守田幸路(九大教授),渡邉英雄(九大准教授)の6名.互選により釜江氏が座長となった.
 その後,原子力規制庁から運転期間延長認可制度についての説明があり,原子炉の延長認可を申請する場合は,運転期間満了日から1年前の日までに申請しなければならないとして,川内原発の1号機については満了日が2024年7月であるので,2023年7月までに申請しなければならないと説明.特別点検では,炉心領域における原子炉容器の母材と溶接部については超音波探傷試験で傷があるかどうかを100%確認しなければならないとか,コンクリートについてはサンプルを抜き出して強度試験を行う必要があるなどの説明があった.
 この原子力規制庁からの説明に対して,渡邉委員から「特別点検をするというのは非常に結構なんですけども,それがあまり新しさを感じない」という発言あり,原子力規制庁から特別な点検をする意義は「これは節目でありますので,しっかりと網羅的な点検をいただいて,規制側もそれをきっちり確認する」ことだという回答があった.また守田委員からは,原発の運転が長期間中断されていた期間については,40年間の期間カウントから除外してもよいのではないかとの意見が出されたが,規制庁からは40年は国会において総合的判断で決められたものなのでとの説明があり,後藤委員からは守田発言に対して専門的に厳しい見解が表明された.
 次に,九州電力から川内原子力発電所1,2号機の概要について,運転開始以降に実施した主要機器更新状況などの説明があった.さらに,運転期間延長認可申請に必要な特別点検についての簡単な説明があった.具体的な内容の検討は,次回に回すことになった.
 第二回分科会は,3月29日に川内原子力発電所において開催された.今回より佐藤暁氏(原子力コンサルタント)がこの分科会に親委員会から新しく参加されることになった.最初に知事の挨拶があり,そのあとで九州電力から2号機の特別点検の実施状況の視察について説明が行われた.現場視察のあと,質疑応答が行われた.これらの質問と前回の分科会で出た質問に対する九州電力の回答は以下の第三回分科会のサイトの資料4-1にまとめられている.
https://www.pref.kagoshima.jp/aj02/0404bunkakai.html
第二回分科会後に提出された佐藤委員と後藤委員の質問に対する九州電力の回答も同じサイトの,それぞれ,資料4-2と資料4-3にある.
 第三回分科会は,4月25日に一部リモートで開催された.この会議では九州電力から,劣化状況評価(高経年化技術評価)に係る制度についての説明と,前の規制法のもとで行われた30年目高経年化技術評価結果についての説明が行われた.各委員からたくさんの意見や質問が提出された.
 第四回分科会は,8月2日に一部リモートで開催された.ここで,川内原発一号炉の原子炉容器についての九州電力が行った特別点検結果についての報告が行われた.第三回分科会で出された質問への九州電力の回答がサイトの資料4でまとめられている.
 この分科会の議事録は(本研究会の開催時には)公開されていなく,今後の分科会はまだまだ続くことになるが,玄海原発3,4号機の適合性審査が行われていた時期の佐賀県の原子力安全専門部会のように原発再稼働推進側委員が過半数を占め,原発再稼働反対側委員が1人もいないようなひどい専門部会に比べると,後藤委員のような原発の運用に慎重な委員が分科会にいることから,今後の分科会の審議内容が大いに期待されると中西氏は結ばれた.

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