学習講演会「玄海原発の再稼働の是非を問う」

学習講演会のご案内
「玄海原発の再稼働の是非を問う」

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これまでの川内原発,高浜原発および伊方原発の再稼働に向けた原子力規制委員会(規制委)の安全基準審査は,原発事故からの安全性を担保するものではなく,再稼働へのお墨付きを与えるためのものであることが明白になっています.
川内原発の1,2号機を再稼働させた九州電力は,次には玄海原発3,4号機の来年度の再稼働に向けて準備を急いでいます.その再稼働についての規制委の審査は昨年12月を最後に開かれていませんが,九州電力はその審査に向けて社員の「玄海シフト」を進めているとの報道もあります.玄海原発で重大事故が起これば,場合によっては,福岡都市圏は重大な被害を被ることを覚悟しなければなりません.
下記のように玄海原発の再稼働に関わるさまざまな問題を学ぶための学習講演会を企画しました.多数の市民の参加を期待します.ただし,会場の制限により先着76名までとさせていただきます.



日 時:2015年11月14日(土)18:00~20:30
場 所:福岡市立中央市民センター 第一会議室(福岡市中央区赤坂2丁目5-8)
    地下鉄空港線「赤坂駅」2番出口より赤坂西交差点を左折(徒歩5分)
資料代: 500円
内 容:A講演
    (1)「世界最高水準の原子力規制基準ってほんと?」(20分)
レジュメ
      報告:岡本良治氏(九工大名誉教授)  
発表スライド
    (2)「水蒸気爆発及び水素爆発の危険性」(20分)     
レジュメ
      報告:中西正之氏(元燃焼炉設計技術者)
発表スライド
    (3)「佐賀県議会における奈良林参考人陳述への批判」(20分)
レジュメ
      報告:豊島耕一氏(佐賀大名誉教授)  
発表スライド
    (4)「玄海原発と白血病」(20分)            
レジュメ
      報告:森永 徹氏(元純真短期大学講師)発表スライド
    B休憩(10分)
    C質問と討論(60分)
主 催:福岡核問題研究会
問合先:三好永作(電話:092-522-8401,メール:eisaku.miyoshi@kyudai.jp)

<報告>

 夜にも拘わらず35名の参加があった.岡本氏は,「日本の原子力規制基準は起因事象の設定だけは厳しいが,その設定に対する評価が極端に甘く,世界一楽観的な進展シナリオに沿った,世界一奇妙な評価が行われている」と厳しい評価を下した.
 中西氏は,西欧やソ連/ロシアにおける過酷事故対策の基本は水蒸気爆発や水素爆発を回避するため水を使わない対策であり,溶融した核燃料を格納容器に貯めた水で冷却するという規制委員会推薦の対策は,危険であるとした.
 豊島氏は,佐賀県議会・特別委員会での奈良林直氏による放射線の人体への影響を軽視するなどの発言に対して批判を行った.
 最後に,森永氏は,佐賀県内の20自治体について玄海原発稼働前および稼働後の白血病死亡率と玄海原発から自治体までの距離の関連を調べ,玄海原発からの距離が小さい自治体ほど稼働後の白血病死亡率が高くなっていることを示した.様々な要因を検討した結果として,この白血病死亡率の増加は玄海原発から放出されるトリチウム以外には考えられないと結論した.
 休憩後,森永氏の講演に関連した質疑・討論を中心に,これらのデータをどのように再稼働に反対する運動に生かしていくかという議論も含めて活発な討論があった.
 「さよなら原発!佐賀連絡会」から,佐賀市において12月12日に同様な原発問題学習会を開催したいという提案があり,協力することになった.
 学習講演会について参加者に尋ねたアンケートの結果は以下の通りであった.
(1)あなたの性別を答えてください.
  a. 女性:27%   b. 男性:73%
(2)あなたの年代を選んでください.
  a. 20代:0% b. 30代:9% c. 40代:0% d. 50代;18% e. 60代:55% f. 70代以上:18%
(3)このシンポジウムを何で知りましたか.
  a. 友人・親族:27% b. ウェブサイト:9% d. メール:55% e. その他:9%
(4)この学習講演会の感想を次から選んでください.
  a. 大変有用であった:55% b. まあまあであった:18% 無回答:18%  難しかった:9%
(5)日本科学者会議の原発シンポジウムや講演会に出席されたことがありますか.
  a. 参加したことがある:55%    b. 今回が初めて:45%
(6)今後,講演会などで取り上げてほしいテーマは何ですか(複数選択可).
  a. 放射線被ばくの健康被害:55%    b. 福島第一原発の現状:45%
  c. 原子力発電への地震の影響:27%   d. 引き続き,玄海原発の再稼働問題:45%
  e. 原子力発電の廃炉問題:55%     f. 再生可能エネルギーの展望:45%
  g. 日本の原発輸出政策について:36%  h. 安保法制に関する問題:27%
(7)その他,ご自由にお書きください.
 ・重要な話を有難う御座いました
 ・九電,国との交渉内容とレベルが違いすぎる.学習会,研究会をたくさん行ってたくさんの人に知ってもらう以外に方法はないのかも知れません.
 ・原子力,核分裂等について素人なので専門的な話はなかなか理解が困難ですが,安倍晋三や菅義偉がいう「世界最高水準の安全性」がデタラメであることだけは理解できる.政府の原発政策を止めさせるような運動の理論武装となるような話を聞きたい.
 ・今回初参加です.ぜひ,次回も参加させていただきたい.
 ・自分には難しすぎてほとんどわからなかった.いただいた資料や研究会のHPをみて,少しでも理解できるようになりたい.科学者の先生たちが主催してくれた学習会なので,「科学」の話は「科学」の話として,また,「科学以外の部分」の話,たとえば,「政治とか行政」の話はそういうもんですよと分けて話してもらえて,そこはよくわかった(でも実際は,その理屈をそのまま押し通すことはできません).

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