6月例会 脱炭素化のプロジェクトについて

6月例会


日時:2018年6月22日(土)10:00〜12:30
話題:「国の資金による脱炭素化の4件のプロジェクト」について
   (話題提供:中西正之氏)  報告資料

<報告>

 本例会では,中西氏に脱炭素化に関わる国の資金によるいくつかのプロジェクトを紹介いただいた.エネルギー問題を考える際には,電力のみでなく一次エネルギー全体で考えることが大切であろう.2017 年度の日本の一次エネルギー実績は,ジュール換算で化石燃料88%,水力3.4%,水力を除く再生可能エネルギー7.6%となっている.日本がパリ協定の目標を達成するためには,再生可能エネルギーを10倍化するとともに化石燃料の一次エネルギー消費を10分の1にして脱炭素化することが必要であろうという.はじめに,国の資金による脱炭素化のプロジェクトを紹介していただいた.まず,鉄鋼業から排出されるCO2 は日本のCO2 総排出量の14%を占めるため,その削減がNEDO の資金のもとでコークスの代わりに一部を水素で代替することで検証実験が行われている.CO2 の排出が30%削減できるという.さらに,大きな熱エネルギーを必要とし高温熱処理や金属製造などに使用される「工業炉」には,日本のエネルギー消費量の18%が消費されており,その省エネ化と環境負荷を小さくした「高性能工業炉」の開発がNEDO で行われ,交互に熱回収する技術などを使うことで30%以上の省エネとCO2 削減効果および50%以上のNOx低減を可能とするものが開発されたという.また,建物の建設などで使用するセメント製品に由来するCO2 排出も決して無視できるものではなく(総排出量の3%),これを減少させることも大切であるという.NEDO プロジェクトにより,東京工業大学や竹中工務店などの共同で,高炉スラグを混入して,CO2 排出を6割以上も削減できる「ECM セメント」が開発されているという.最近,海洋投棄されたプラスチック問題がマスコミなどでも取り上げられているが,最後に,廃プラスチックを原料にしたEUP 式ガス化炉の技術が紹介され,このガス化炉により廃プラスチックから比較的簡単に水素や一酸化炭素などからなる生成ガスを得ることができるという.

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