6月例会a 原子炉級プルトニウムと核兵器

6月例会a


日時:2020年6月6日(土)10:00〜12:30
話題:原子炉級プルトニウムと核兵器
   (話題提供:岡本良治氏)  
発表資料

3月に予定していた例会をコロナ禍の中で中止・延期していたが,6月6日(土)にオンラインでZoomを使って福岡核問題研究会を開いた.

<報告>

岡本氏はA4版44ページにわたるノート「原子炉級プルトニウムと核兵器」を書き上げておられる.そのノートに基づいたお話をなされた.2019年現在,原子炉の使用済み核燃料から抽出されたプルトニウム(原子炉級プルトニウム)で日本が保有する量は45.7トンであり,長崎原爆で使用された量8 kgでわると,約6000発相当になるという.「原子炉級プルトニウムで核兵器ができるかどうか」という問題に関して科学的・技術的に詳細に報告された.日本原子力研究開発機構が運営する原子力百科事典では「原子炉級プルトニウムは原子炉の燃料としては使用できるが,原子爆弾の原料には適していない」とある.原子炉級プルトニウムで核兵器を作る上での問題点は,自発核分裂が起こり易いプルトニウム240が多く含まれるため,意図しない核分裂連鎖反応による事前爆発(過早爆発)が起こることである.これを避けるため,マンハッタン計画では爆縮型の原爆(長崎原爆)を作った.岡本氏によれば,長崎原爆は旧式のものであり,長崎原爆の爆縮型の構造をそのまま踏襲した核兵器は現在の核兵器国ではないという.①爆縮時間の短縮や②ブースター効果(重水素と三重水素の核融合を利用することで核分裂の高速化・高効率化を図る仕組み)を使うことで,原子炉級プルトニウムでも兵器級プルトニウムと変わらない程度に過早爆発の確率を低く抑えることが可能であるとのことであった.

なお,岡本氏はA4版44ページにわたるノート「原子炉級プルトニウムと核兵器(加筆修正版)」を以下のサイトに公開されている.
http://rokamoto.sakura.ne.jp/fukushima/reactor-grade-Pu-and-nuclear-weapon-note.pdf

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