9月例会 パブリックコメントの為の基準地震動問題調査報告
9月例会
日時:2016年9月24日(土)14:00〜16:30
内容:(1)玄海原発3, 4号炉のパブリックコメントの為の基準地震動問題調査
報告:中西氏 レジュメ
(2)西尾正道氏の九州講演について
報告:佐藤氏
<報告>
はじめに中西氏より「玄海原発3, 4号炉のパブリックコメントの為の基準地振動問題調査報告」と題して,報告いただいた.氏の問題意識は,2014年9月まで規制委の委員長代理をしていた島崎邦彦氏(地震学)が「原発が大地震に見舞われた場合の実際の揺れは現在の基準地震動(想定される最大の揺れ)を上回る可能性が高い」と明らかにしたのに対して,規制委の田中俊一委員長の対応に納得できない点であったという.この問題を調べていくうちに2つの大切なことに気付いたという.一つは,地震学と地質学の違いであった.地震学は,地震の発生機構とそれに伴う諸現象を解明する学問であり,地面より下の地層・岩石を研究する地質学とは異なる.原発の基準地震動に深く関わるのはもちろん地震学である.島崎氏の専門は,地震学であるが,島崎氏と入れ替わって規制委委員となった石渡明氏の専門は地質学である.現在,規制委には地震学についての専門家がいないという異常な状況であるという.
もう一つは,玄海原発は敷地周辺に活断層が少ないので大地震には比較的安全であると思われてきたが,日本では,地表に活断層が現れていない大地震が頻発しており,玄海原発は決して大地震に安全であるといえる訳ではないということである.その意味で専門家は,「震源を特定せずに策定する地震動」の策定を重視するようになってきているという.「震源を特定せずに策定する地震動」は,震源と活断層を関連づけることが困難な過去の内陸地殻内地震について得られた震源近傍における観測記録を収集し,これらを基に策定するという.そして,2008年の岩手・宮城内陸地震(マグニチュード6.9)や2000年の鳥取県西部地震(マグニチュード6.6)などの16の地震だけが対象になっているようである.
「原発なくそう!九州玄海訴訟」においても玄海原発3, 4号炉の基準地震動の問題が,九州電力の方から持ち出され,この訴訟の重要な争点になってきている.この問題についての正確な理解がますます重要になってきている.次の10月例会でもこの問題について解説いただくことになっている.
次に,佐藤氏により西尾正道氏(医師,北海道)による「内部被ばく・低線量被ばく・放射線治療について」の講演会についての報告があった.講演会は,福岡市(7月22日),北九州市(7月23日)および鹿児島市(7月24日)で行われ,それぞれ,50名,150名,150名の参加があったという.