8月例会 深海魚出現と地震&原水禁運動の歴史

8月例会


日時:2019年8月24日(土)10:00〜12:30
話題:(1)深海魚の出現は地震の前兆か? −米国地震学会誌 織原論文について
     (話題提供:森永徹氏) 発表資料
   (2)原水禁運動の歴史を調べる −政党との関係性を中心に
     (話題提供:豊島耕一氏) 
発表資料

<報告>

 本例会では,はじめに森永徹氏が,最近,米国地震学会誌(Bulletin of the Seismological Society of America)に掲載された「深海魚の出現は地震の前兆か?」(Is Japanese Folklore Concerning Deep-Sea Fish Appearance a Real Precursor of Earthquakes?)とのY. Orihara(織原義明)らの論文の内容を紹介された.日本では,リュウグウノツカイなどの深海魚が漁の網にかかったり,浜に打ち上げられたりすると地震が起こるという言い伝えあるという.織原らは,リュウグウノツカイなど地震の前兆とされる8魚種の出現について,文献や地方紙の記事などで1928年11月から2011年3月までに確認された336件を調査した.発見場所から半径100キロ以内が震源となったマグニチュード6以上の地震が発見の30日後までに起きたということは,1件の例外を除きなかったという.地震直前に海底から出てくるガスや電磁波のようなものを嫌がり海面近くに逃れてくるというような最もらしい説もあったというが,深海魚の出現が地震の予知に役立つことはなさそうである.

 次に,豊島耕一氏が,現在も別々に原水爆禁止大会を開いている原水協と原水禁の運動の歴史について報告された.今年の7月28日に行われた科学者集会in福岡の報告を原水協の世界大会に報告するだけでなく,原水禁の世界大会にも報告することを試みるということが科学者集会の実行委員会において決められ,同氏がその任に当たったことから分裂の歴史を調べることになったようである(原水禁の世界大会において科学者集会in福岡の報告をするのに,結構な苦労があったようである).同氏の問題意識は,「原水協と原水禁,そしてそれらとそれぞれ関係の深い共産党と社民党との間では,核兵器禁止をめぐって,あるいはその方法論をめぐって,現在は深刻な対立はないと思われるにも関わらず,何故統一した運動ができないのか」ということにあるようだ.同氏は,1960年代の「あらゆる国の核実験に反対」問題(第一次分裂)や1980年代の第二次分裂における共産党(系)の主張には,寛容さに欠ける態度があり,政党と平和団体との関係でも共産党の側があまりにも介入的であったと判断せざるを得ないとする.現在,もちろん共産党は「あらゆる核実験に反対」している筈で,1960年代の姿勢とは明らかに異なる.その辺の総括をきちんとすべきであろう.同氏は,原水協の方に肩入れしている日本科学者会議としては,その肩入れしている組織に意見する役割があると締めくくられた.

inserted by FC2 system