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講演会「大学の軍事研究と安倍政権ー具体化する軍学共同路線の果てに」

日本科学者会議福岡支部講演会


日 時: 5月14日(金)15:30〜17:00
会 場: 久留米大学福岡サテライト・天神エルガーラオフィス6階
    (国体道路側入口より,下図参照)
講 師: 纐纈 厚氏(山口大学名誉教授)
講 演:
大学の軍事研究と安倍政権ー具体化する軍学共同路線の果てに
    
レジュメ
主 催:日本科学者会議福岡支部
入 場:無料

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要旨


防衛省は現在、軍事研究予算として総額110億円の募集を行っています。日本学術会議は、軍事研究を否定した1950年、1967年の声明を踏まえ、本年3月24日に事実上、軍事研究を否定する内容の声明を発しています。しかし、安倍政権は日米同盟強化を旗印に、軍拡路線を強行し、防衛費の増額を決定しています。いま、私たちは学問の自由が奪われ、科学技術研究の成果が戦争に資することを強要されてようとしています。これは先の戦争を教訓として成立するはずの学問や研究の在り方を根底から否定するものです。あらためて軍学共同路線を糾弾する議論を起こしていかなければなりません。本集会では、この問題について皆さんと一緒に考えていきます。


<報告>

 福岡支部では、毎年5月の定期支部大会に合わせて時宜に応じた公開講演会を開催しています。安倍政権の軍拡路線の下で、防衛省の安全保障技術研究推進制度に典型的現れている「軍学共同」を進め、大学を軍事研究に引き込もうという動きが進行している状況を考え、今年は纐纈厚山口大学名誉教授を講師に「大学の軍事研究と安倍政権」と題する講演会を開催しました。
 冒頭、纐纈先生は、「軍事研究」と「軍事問題研究」を峻別し、民間人による軍事問題研究をすることの重要性を強調されました。その後、現在の大学の置かれている研究資金の枯渇・財政危機の状況とそこに付け込んだ防衛省の安全保障技術研究推進制度の策動、それに対する各大学の対応について現状の分析がなされました。その中で、大学の対応は大きく「認めない」、「審査を行った上で判断する」、「対応を決めていない」3つに分かれるが、「軍事問題」の専門家がいない大学で「審査を行った上で判断する」という対応は危ういと指摘されました。
 また、学術会議の3月の声明について、「軍事研究の禁止」に結論づけられなかった点は遺憾であると厳しい評価をされました。この点については、講演後の質疑応答において参加者から、現状においてはこの声明はもう少し評価しても良いといった意見も出されました。
 最後に、今求められていることとして、研究内容について個人の判断に任せず大学や研究機関としての統一した姿勢を打ち出すことの重要性、天皇機関説事件や滝川事件などの過去の歴史の教訓を生かす必要性等が指摘されました。
 質疑応答の中では、現在の東アジアの緊張した軍事状況についてどう対応するか等も議論となり、相手の立場にたって考えてみることの重要性などが活発に議論されました。また、憲法問題については「活憲」的な取り組みが重要であるとの指摘もありました。

(小早川)


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