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緊急シンポ:『安保法案』とアカデミア

緊急シンポジウム 違憲「安保法案」とアカデミア

講 師:南野 森 教授(九州大学 法学研究院)

日 時:7月30 日(木) 17 時 ~
場 所:九州大学 箱崎キャンパス 文系地区 中講義室
主 催:九州大学教員有志
共 催:日本科学者会議福岡支部

 憲法違反が明確であると指摘されている「集団的自衛権(具体的にはアメリカの戦争への加担)」の発動を含む「安全保障」関連法案が多数の国民の反対にもかかわらず衆議院で強行採決されました。今後、参院での審議に付せられますが、今以上にこの「戦争法案」への反対の世論を喚起し、廃案に追い込んでゆくために平和を望む科学者・研究者にもその一端を担う責務があると考えます。その運動の1つとして、九州大学の教員有志とともに、「緊急シンポジウム『安保法案』とアカデミア」を企画しました。
 会員の皆さんの参加と周りの人たちへの参加の呼びかけをお願いします。

日本科学者会議福岡支部事務局長 小早川義尚


<300名以上が参加したシンポジウムの報告>

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 7月30日「違憲『安保法案』とアカデミア」と題した緊急シンポジウムが、九州大学教授有志13名と日本科学者会議福岡支部の共催により、九州大学箱崎キャンパスの文系中講義室において開催されました。このシンポジウムは、衆議院憲法審査会で3名の憲法学者が揃って法案は違憲であるとの意見を表明し、9割を超える多数の憲法学者も違憲であると判断し、世論も圧倒的にこの法案に反対、もしくは慎重審議を求めている中、「安保関連法案」が衆議院において自公両党によって強行採決された事態に対し、大学人は「真理を追究してその成果を継承すると同時に社会に発信する責任がある」との考えで、2週間ほどの間に急遽計画・実施されたものです。シンポジウムには300名を超す九州大学の教職員・学生・院生をはじめ九大のOG・OB、市民が参加し、南野 森氏(九州大学・法学研究院教授)の講演を聴き、引き続く質疑・討論に積極的に発言をしました。特に、若い学生・院生の参加者の鋭く、アカデミックな内容の質問・意見が印象的なシンポジウムでした。
 南野教授は、AKB48の内山奈月さんとの共著『憲法主義』で、分かりやすく憲法の本質を解説されていますが、講演でも非常に分かりやすく集団的自衛権を巡る「安保法案」の問題点・現状について解説されました。また、憲法の平和主義を実現してゆくといった観点から、正確な状況判断とどのように運動を進めてゆくのが効果的であるのか、といった点についても憲法の条文、過去の判例・解釈などに基づいて話されました。引き続く質疑応答では、「安倍首相になってから7名の最高裁判事が交代したが、司法は大丈夫か?」、「もし、参院での強行採決、“60日ルール”に続く衆院での再強行採決で法案が成立したとして、違憲訴訟をするとどうなるのか?」、「9条解釈において自衛隊を合憲としながら、今回の法案を違憲とするのは論理矛盾ではないのか?」、「この法案の成立をどうすれば止められるのか、効果的な闘い方はないのか?」といった質問、「これまでの日本政府はひたすらアメリカの「国益」に基づいた要求に応じてきている、今回のこともその延長である」といった意見などが出され、活発で且つ内容の濃い質疑応答・討論が行われました。
 シンポジウムを受けて(準備段階からもその声はあったのですが)、参加した教職員の中から「安全保障関連法案に反対する九州大学有志の声明」を出そうとの動きが起こり、現在その取り組みが進められています。
参照サイト:
https://sites.google.com/site/kyudaiampo/seimei
(報告者:小早川義尚)

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