公開質問Q7と九電の回答

<公開質問Q7>

基準地震動についても問題としたい.基準地震動とは原発の耐震設計において基準とする地震動(地面や地中の揺れ)のことで,玄海原発の基準地震動は620ガルと低く設定されている.地震は,すでに見つかっている活断層で起きる場合と,活断層が未発見の場所で起きる場合があるが,2016年10月21日の鳥取県中部地震(M6.6)はこれまで知られていない断層が動いたものとの見解を政府の地震調査委員会が発表した.この地震では震源近くで震度6弱を記録し,倉吉市では1494ガルの地震動を観測している.
玄海原発の付近は地震が比較的少ない地域であるが,このような未発見の断層による地震で起きる危険度は小さいとは言いきれない.玄海原発直下で鳥取県中部地震を超える規模の地震が起きる可能性は否定できない.また,九州電力や規制委による活断層を特定した基準地震動の評価法では,過小評価になっているとの多数の地震学者の警告がある[9].これらを考えれば,今回の玄海原発再稼働審査によって原子炉格納容器を含めた原発の耐震性が確かめられたとは到底言えない.このような基準地震動について過小評価になっているとの多数の地震学者の警告を九州電力はどのように考えているか?

<Q7に対する九電の回答>

玄海原子力発電所の基準地震動は,敷地ごとに震源を特定して策定する地震動としてSs-1(540ガル),Ss-2(268ガル),Ss-3(524ガル),震源を特定せずに策定する地震動としてSs-4(620ガル),Ss-5(531ガル)を設定しています.当社は敷地ごとに震源を特定して策定する地震動において徹底した調査により,活断層をもれなく把握しており,直下に活断層がないことも確認しています.また,震源を特定して策定する地震動における地震動評価は,詳細な調査に基づき地下の断層の断層の形状を策定し,放出されるエネルギー,断層の動く方向を決定し,具体的な地震動の計算を行うという一連の流れで実施します.この一連の評価におきましては,まず,実際の地震による原子力発電所敷地で揺れの観測記録と計算による揺れを比較し地震動の計算手法の精度を確認します.その上で,調査結果よりも断層の長さをなおす,あるいは断層を傾斜させることによって面積を大きくする,アスペリティーと呼ばれる地震の際に特に強いエネルギーが放出される領域を断層の中で敷地に最も近い位置に,地下の断層が揺れ動く向きを放出されるエネルギーが敷地に向かう方向にする,など地震動が過小評価にならないよう配慮を行っています.このため当社の地震動評価は十分安全側の評価と考えています.しかしながら,震源を特定する(ママ)策定する地震動は過去に震源断層の全てが地表に現れなかった地震において震源近傍の観測記録が得られていることを踏まえ,その観測記録も耐震設計に極力活用していくという観点で行動が必要なものです.新規制基準では震源を特定せず策定する地震動の策定にあたり観測記録を用いることが求められており,当社は2004年北海道留萌支庁南部地震および2000年鳥取県西部地震の観測記録を反映させSs-4およびSs-5を追加しています.当社は平成30年4月に川内・玄海原子力周辺における地震観測強化の取り組みとして川内原子力発電所周辺において12箇所の地震観測点の増設,合計31箇所で観測し観測結果について観測した地震の数・規模・位置,過去からの変化などを平成31年度から年一回の頻度で公開します.また,玄海原子力発電所周辺については23箇所で平成30年4月から地震観測点の設置を開始し平成31年から地震観測を開始予定としております.当社は,今後とも法令・規格・基準の適合はもとより新たな知見を積極的に取り入れ原子力発電所の自主的・継続的安全性向上に取り組んでまいりたいと考えています.
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