公開質問Q6と九電の回答

<公開質問Q6>

玄海原発において,① 使用済み核燃料を水冷保管していることや② 格納容器を空気で充填していること,そして③ 見て分かる航空機対策をしていないことは,疑いようなく周知されている事実である.
海外では取り組みが進んでいる使用済み核燃料の乾式貯蔵は,安全性を格段に高める.玄海原発等の加圧水型原発の格納容器には,沸騰水型に比較して容量が大きいことを理由に窒素充填していない.しかし,加圧水型原発の格納容器に窒素充填することは,格納容器内での水素爆発を抑止するなど安全性を高めることに有効である.航空機の対策については,規制委は「確率」による計算と判断から審査対象から外した.わが国の航空機の対策は,欧米各国の対策・考え方から大きく遅れている.米国での9•11事件や飛行機の墜落を深刻にとらえた欧米各国は,現実的な検討をして具体的で公開された,大型航空機の衝突に耐える2重構造の格納容器などを備える原発を建設されている[8].こうした頑強な構造を持つ原発は従来の原発より安全性は高く,天災等による事故の被害拡大や破壊行為への抵抗性も高いと考えられる.
これらの乾式貯蔵や格納容器への窒素充填,2重構造の格納容器などは,破壊行為から守るためにもこれらの対策が有効である.(使用済み)燃料プールが無ければそれを破壊して冷却を阻害できないし,格納容器に窒素充填していれば内部に侵入するにも酸素ボンベがいるし,窒素を排除するにも時間がかかる.2重構造の格納容器は飛行機で破壊することは困難であろう.このように,原発の安全性を高めることが,破壊行為の抑止にも確実に有効な手段となる.このような高い安全性を持たない玄海原発は,破壊工作によって容易に破壊される危険性が高いと考えられるが,この点について九州電力はどのように考えているか?

<Q6に対する九電の回答>

乾式貯蔵については,プール方式と併用することにより,保管方法が多様化するなど,発電所のさらなる安全向上をはかれることから,国内外の事例の事情収集や貯蔵方法等についての技術的な検討を行っております.格納容器への窒素充填については,水素爆発等について格納容器内の雰囲気が窒素雰囲気であれば,水素・酸素反応による爆発の可能性に比べ著しくその可能性が低くなることは理解できます.ただ,一方,現在のPWRプラントにおいて,燃料被覆管全てが溶融して,それにともない発生する水素量と格納容器内の容量から導き出される酸素量を考慮した結果,水素爆発の濃度に達しないことは,評価されておりまして,原子力規制委員会によっても了承されています.また,原子炉格納容器内での作業に関しても窒素雰囲気である場合,ボンベ等を用いての作業となり作業性が悪くなるという面もございます.また,原子力発電所に航空機が衝突した場合,被害の有無・程度について一概に言及することはできません.ただし,当社の原子力発電所は耐震性や遮蔽の観点から十分な強度と厚さを持った堅固な構造物となっており,外部からの衝撃に対しても相当の耐力を持っていると考えています.また,異常を検知した場合,原子炉は直ちに自動停止するように設計されています.また,破壊工作については当社は,国民保護法(武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律)に基づいて指定公共機関として国民の保護に関する業務計画を定めており,その計画の中で原子力関連の運転停止について次のように想定しております.武力攻撃等について,発電所所在地域が警報の発令地域となった場合または地域を定めずに警報が発令された場合には,当社は直ちに原子炉の運転停止に向けて必要な措置を実施しする.原子力規制委員会からの運転停止命令が発表された時には,運転を停止します.突発的な武力攻撃が発生した場合等,特に緊急を要する時には警報の発令や運転停止命令の発動を待たずに自らの判断により運転を停止することになります.あと,航空機衝突における攻撃については,米国の非営利の連合研究体である電力研究所が,2002年に米国内の原子力施設の代表的なタイプをモデルに,米国同時多発テロ事件のように大型旅客機衝突による影響をコンピュータ解析によりまとめています.これ解析の結果,原子炉格納容器等の施設に多少の損傷を受けたとしても貫通することなく,放射性物質の外部へ放出する危険性は小さいと結論しています.
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