公開質問Q2と九電の回答

<公開質問Q2>

規制委の任務として,設置法では「国民の生命,健康及び財産の保護,環境の保全」(第3条)が掲げられている.しかし,過酷事故時の住民避難等の対策(原子力防災)は規制委の審査の対象になっていないため,再稼働の審査は規制委の目的・任務からして重大な欠陥があるといわざるを得ない.原子力施設周辺における放射線影響緩和は,IAEAの深層防護の第5層としても求められており,国際的な観点から見ても原発の稼働にとって不可欠の条件であるが,原発周辺自治体に「丸投げ」され,その有効性についていかなる公的な第三者機関による検証もなされていない.以上の点は,規制委の無責任性を物語るのもではあるが,そのような中で,ひとたび原発の過酷事故が発生すれば,その被害に対する全責任を取るべきは九州電力である.この点について九州電力はどのように考えているか?

<Q2に対する九電の回答>

IAEAによる第五の壁、放射性物質の大規模な放出による放射線影響の緩和については、その前段階である第四の壁、事故の進展防止およびシビアアクシデントの影響緩和、過酷なプラント状態の制御の対策として、放射性物質の放出防止対策として、格納容器破損防止対策として、格納容器の冷却、減圧対策、溶融炉心冷却対策、水素爆発防止対策を講じております。また、万が一放射性物質が放出されるような事象が発生した場合に備え、格納容器の漏洩箇所へ放水することにより、放射性物質の周辺環境への放出を極力抑える対策、あるいは放出された放射性物質を含む水が海水に流れても、外洋への拡散を抑制するシルトフェンス等を設置することとしております。第五の壁については、内閣府にて法体系上整理されておりまして、ご指摘の通り、自治体主導となっております。自治体が作成する原子力防災にかかる地域防災計画、避難計画等について、原子力発電所が所在する地域ごとに、課題解決のためのワーキングチームとして設置された、地域原子力防災協議会がその具体化、充実化を支援しております。協議会では要支援者、避難先への移動手段の確保、国の実働組織の支援、原子力事業者に協力を要請する内容等の具体策について、協議、連絡、調整を行なっております。当社は協議会に積極的に参加するとともに、協議会からの支援要請に誠意を持って対応して行くこととしております。また、協議会においては、避難計画を含む、原子力防災対策の実効性を向上させて行くため、防災訓練の反省点等を関係機関で共有して、改善を図ることとしており、当社においても、住民避難支援にかかる教育を継続的に実施するとともに、原子力防災訓練の結果等も踏まえ、取り組み内容の継続的改善に努めております。
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