公開質問Q5と九電の回答

<公開質問Q5>

玄海原発の再稼働によって,過酷事故がありうることは明確であるといわざるをえない.しかし,もしその危険性を無視できるほど小さなものと仮定できるとしても,玄海3,4号機が稼働を再開すれば,通常運転においても原発周辺では健康被害が生じる恐れが大きいことが明らかになっている.玄海原発周辺では,同原発の稼働によって住民の白血病死亡率が高くなったとの報告があり[6],通常運転時に原発から環境に放出されるトリチウムが原因として疑われている.実際,玄海原発は過去の稼働時の 2002年から 2012年に 826テラベクレルと,わが国の原発では最も多量のトリチウムを放出している.これは福島原発事故で発生した汚染水中のトリチウムの量とほぼ等しい.
トリチウムの危険性については,ベータ線のエネルギーが小さいためベクレル当たりの吸収線量は小さい.しかし,トリチウムは生化学的に重要な元素としての水素の同位元素として,生体に容易に取り込まれるため,特別な内部被ばくのリスクがあることを,欧州放射線リスク委員会(ECRR)は2010年勧告[7]で指摘している.このトリチウムの危険性は,まだ科学的に確定されたことではないが,トリチウムの周辺住民への健康影響の危険性が完全に払拭されない限り,玄海原発の再稼働はするべきではないと考えるが,九州電力はこの点をどうのように考えているのか? また,九州電力は玄海原発周辺市町村における白血病の死亡率のデータを調査しているのか?

<Q5に対する九電の回答>

玄海原子力発電所から放出されるトリチウム濃度は国が定める基準値を十分満足している。また年間のトリチウム放出量をもとに発電所周辺の人が受ける放射線量を国が示す指針に従って算出した結果、1年間で0.001ミリシーベルト未満と評価され、自然放射線の1000分の1以下となっております。このため、玄海原子力発電所から放出されるトリチウムは周辺住民の健康に影響を与えるレベルにないと考えています。
これらの調査結果については、定期的に開催される自治体主催の会議において、学識経験者からの指導と助言をいただきながら、検討・評価を行っており、これまで問題がないことを確認しています。
原子力発電所から放出されるトリチウムは、原子炉の型式や原子炉基数などによりトリチウムの放出量が異なっております。このため、玄海原子力発電所と同型を導入している発電所で同数の原子炉を設置している高浜発電所、大飯発電所と放出量を比較したところ、同程度であり、玄海原子力発電所が突出して大きい訳ではないと考えています。
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